地殻やマントル上部に蓄積されたひずみのエネルギーが急激に解放され、その波動が伝わる現象が地震である。地殻のある特定の場所にひずみのエネルギーがたまって、岩石の強度を超えると岩石は破壊され、断層が生じ、地震が起きる(断層説)。この断層運動の発生した場所を震源といい、震源の真上の地表の点を震央という。
P波
媒体の体積の変化が波として伝わる。振動方向は波の進行方向と同じで縦波である。よって、液体中・気体中・固体中を問わず伝わる。約5〜7km/s。
S波
媒質のねじれが波として伝わる。振動方向は波の進行方向に対して垂直な横波である。よって固体中のみを伝わる。約3〜4km/s。
表面波
エネルギーが媒質の表面に集中して伝わる。表面波の振幅は深さとともに急激に減少する。表面波には、地表面の動きが波の進行方向を含む鉛直面内で楕円運動するレイリ−波と、波の進行方向に垂直で、しかも水平に振動するラブ波の2種類がある。約3km/s。
S-P時間(初期微動継続時間)
ある地点におけるP波とS波の到着時刻の差TをS-P時間(PS時間)という。この初期微動継続時間Tは震源までの距離Dに比例する。
大森公式:D=kT(kは比例定数) 〜 この公式を用いて震央・震源の特定が可能となる。
マグニチュード(M)は、地震そのものの規模を表す数値で、1935年アメリカの地震学者リヒター(1900 - 1985)が初めて定義した。リヒターによるマグニチュードの定義の要点は、記録された地震波の最大振幅の常用対数を用いることで、この考えが、その後の様々なマグニチュードの定義の原点となった。震源からの距離などの条件が同じであれば、地震波の振幅が1桁大きくなるごとにマグニチュードが1ずつ大きくなるというのが、マグニチュードの基本的な考え。
震源を囲む一つの面を通過した地震波のエネルギーE(erg)とマグニチュードMの関係は次式の通り。
log E = 1.5 M + 11.8
(Mが2大きくなるとエネルギーが1000倍になるという有名なこの式は、後にグーテンベルクとリヒターが導いたもので、マグニチュードの定義そのものではない。)
地震活動には、小さな地震ほど頻繁に発生する傾向がある。ある地域である期間にマグニチュードMの地震が発生する回数Nは次式で表される。
log N = a - b M(a・bは定数、bはおよそ1)
したがって、同じ期間内に、マグニチュード(M-1)の地震はマグニチュードMの地震の約10倍発生することになる。
かつては、いわゆる実体波マグニチュードや表面波マグニチュードが広く使われたが、地震計の周波数特性の関係で、それぞれM7およびM8.5程度で頭打ちとなる傾向が見られた。つまり、M8クラスの地震の規模をうまく反映できなかった。そこで、本当の地震の規模を反映するものとして、最近はモーメントマグニチュードMwがよく使われる。
地震の殆どは、地下の岩盤内で発生した震源断層の運動であると考えられている。震源断層の面積・ずれの量・岩盤の剛性率の積は地震モーメントMoと呼ばれ、断層運動の規模を表す量である。この地震モーメントを従来からのマグニチュードに換算したものをモーメントマグニチュードMwという(1977年にカリフォルニア工科大学地震研究所の金森博雄教授によって提唱)。モーメントマグニチュードには実体波マグニチュードや表面波マグニチュードに見られる上限頭打ちの欠点がなく、断層運動としての地震の規模を正しく反映している。
Mo(単位はN・m)とMwの関係は、次式の通り。
log Mo = 1.5 Mw + 9.1
震度は、その地点での地震の揺れを数値で表したものである。
かつて、震度は体感・周囲の状況から、気象庁が1949年に決めた「0(無感)、1(微震)、2(軽震)、3(弱震)、4(中震)、5(強震)、6(烈震)、7(激震)」の震度階をもとに推定していたが、多くの地点で客観的な震度を迅速に決めるため、平成8年(1996年)4月からは、計測震度計により自動的に観測している。この計測震度は、従来よく行われていた地震動の最大加速度をそのまま震度に換算したものではなく、加速度記録に周波数0.5〜10Hzの範囲で地震動の低周波数側を強調するフィルターをかけたうえ、振動の継続時間なども考慮して決められる。(気象庁「震度の算出方法」)気象庁は全国各地に約600地点の震度観測点を展開している。「震度5」および「震度6」は、発生する被害状況の幅が広すぎるため、 平成8年10月からこれを2つに分けて、それぞれ「震度5弱」、「震度5強」および「震度6弱」、「震度6強」とした。これにより震度階級は10階級になった。(震度の目安には気象庁震度階級関連解説表参照。)
震度は、一般に、震央付近で大きく震央から離れると小さくなるはずだが、地盤の影響を受ける為、そうなるとは限らない。一般に、川沿いの軟弱な沖積層の地盤では震度が大きく、固い岩盤の地域に比べて被害が大きくなる。また、北日本の太平洋側では太平洋プレートのもぐりこんでいる部分に沿って伝わる地震波の減衰が小さいので異常震域が観測されることがある。
走時曲線とモホロビチッチ不連続面
地球の内部構造
...加筆未定
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